「大企業、ベンチャー、CTO経験のあるエンジニア」が起業後に会社員をする理由

「LAPRASユーザーインタビュー」では、LAPRASをきっかけとして転職や副業を経験されたエンジニアの方へのインタビュー記事をご紹介しています。今回は大企業、ベンチャー、CTOを経験され、現在は起業した会社でCEOをしながら別の会社で会社員をされている藤澤さんにお話を伺いました。
今後のキャリア形成に悩んでいるエンジニアの方や、エンジニア採用担当の方はぜひご一読ください!

<プロフィール>
藤澤さん
大学卒業後、Slerに入社し、生産管理システムの開発に携わる。その後、早稲田大学大学院にてMBAを取得。株式会社ワークスアプリケーションズで開発エンジニアをしたのち、株式会社DeNA、株式会社マネーフォワードなどの大手企業や、GLADD(現 la belle vie)株式会社、Dr. JOY株式会社などのベンチャー企業でWebエンジニア、マネージャーなどを経験。その後、IT教育サービスのベンチャー企業である株式会社ダイビック役員CTOに就任し、エンジニア兼役員として、100名以上が参加するイベントのプロデューサー、新商品開発なども担当。
2021年7月にはAIとWebの活用を支援するwywy(ワイワイ)合同会社を起業。2024年2月に株式会社CORDERへ参画。現在は、wywy(ワイワイ)合同会社でCEOをしながら株式会社CORDERで会社員としてWebエンジニアを務め、見積もりSaaSの開発を手がけている。

CEO兼会社員のキャリアについて

―現在の業務内容について教えてください

wywy合同会社を起業し、CEO兼Webエンジニアを務めています。
AIとクラウドのより良い活用を支援する事業として「IT教育動画の企画・制作」「法人IT研修の企画・実施」「IT講師の受託」「システム開発の受託」といった4つのサービスを提供しております。

また、会社員として株式会社CORDERでWebエンジニアをしております。
主にNext.jsを使った建設業の見積もりを効率化するクラウドシステムの開発を行っております。

―前職について教えてください

IT教育サービスのベンチャー企業である株式会社ダイビックのCTOに就任し、エンジニア兼役員として、100名以上が参加するイベントのプロデューサー、新商品開発などを担当しました。

※前職では非常に幅広い職種・業務内容を経験されているため、次のようにまとめていただきました。

【業務内容】
(1)テクニカルチームのマネジャー
・やったことのまとめQiita記事
https://qiita.com/ffggss/items/1de27a7c2643bb85664a
・案件管理、デイリーMTG、他部署との要件調整

(2)新商品企画のプロジェクトマネージャ
社員:3名、業務委託:1名
・Python3エンジニア認定基礎試験の公認対策講座
・チーム開発講座
・RPA講座
など企画、運営、プロジェクトマネージャ

(3)社長補佐
・中期経営計画の策定
・VMV策定
・人事、評価の補助
など

執行役員 CTO (2019年08月 – 2021年06月)
【業務内容】
・エンジニアチームのマネージャ
・新商品企画
・経営企画
・社内システムの保守、運用

【役割】
・執行役員 CTO

【言語, フレームワーク】
Ruby, Rails, Vue.js

【開発環境】
RubyMine, GitHub

ロボット講師開発プロジェクト (2019年03月 – 2021年06月)
【業務内容】
・講師ロボットの企画、開発、運営、それに伴うテキストの改変

【役割】
・リーダー

【言語, フレームワーク】
Ruby, Rails, Docker, Groovy, Java, Geb

【開発環境】
RubyMine, GitHub, Intellij

―起業した理由を教えてください

前職にて、IT教育サービスのベンチャー企業にて教育関連の仕事に携わってきました。
仕事をしている中でAIとWebによって業務が大きく変化している時代であること。その変化に伴ってAIとWebの教育ニーズの高まっていることを感じていました。

そのようなことを考えていた中で、コロナによる直接の教育の機会が減り、オンラインでの教育の機会が増えました。当初、オフラインのIT教育が増えている状況で「オンラインで教育は難しい」と考えていましたが、実際のところは案外、IT教育はオンラインで効率的に進めることができてしまったんです。
そこで、都心で賃貸するより低い固定費で、動画とオンラインを活用した効率的なIT教育サービスを提供できるのであれば、妻と2人という小規模の企業でも大企業に負けず、持続可能なサービスが提供可能だと考えて起業するに至りました。
実際に、IT教育サービスではオフラインと比べ提供価値が落ちることなく、画面共有しながら指導できたり、参考となる資料のリンクを共有できたりと作業効率化できました。

あとは、昔から自分がやりたい意義や、ビジネスチャンスがあれば会社を起こしたいと思っていたので、自分の方向性と時代の流れがちょうどマッチしたことも追い風になりました。

―会社員と起業した会社でのCEOを両立されている中で何かメリットはありますか?

自分で起業して業務をしていると、新しい技術などがでてきた時に詰まる場面が多々ありました。
その時は、自分で解決策を探ることになるのですが、企業に勤めていると同僚のエンジニアに相談できるので「煮詰まったときの相談相手がいる」というメリットがあるなと思います。

どうしても1人で業務をしていると悩む場面がでてくるので、頼もしい相談相手がいると安心できます。
例えば、現在、会社員として勤めているCORDERでは、見積の依頼から受領までをクラウド上で一括管理できるサービスを提供していますが、その会社全体の事業目標を理解し、目標達成に向けて同僚や上長と相談しながら進めていけているので、孤独感を感じず楽しく業務ができていると思います。

公式からの学びを大事にしながらアウトプットする。

―エンジニアとしてどのようなアウトプットや貢献をされていますか?

CORDERでの仕事ですと、現行では新しい技術を取り入れています。

業務として見積を一括管理するクラウドサービスを開発しています。例えば、取引先に見積もりを依頼し、もらった見積書をgoogleドライブに格納し、それを横並び比較して実際にものが決まったら値入れしていくというような業務を支援する機能などがあります。
現行システムには、各協力会社から元請会社に送付されてくる見積内容を比較する機能がなかったので、企画して2か月間で0から開発をおこないました。そのようなSaaSをお客様に提供することで会社に貢献できていると感じています。

新しい技術を取り入れる際に大事にしているのが「公式な学習コンテンツを必ず参考にする」ということです。アウトプットをより良いものにするためにも、インプットする際のポイントとして重要だと思います。

たとえば、Next.jsについて学ぶ際は、Learn Next.jsというNext.js公式が提供している学習プログラムを全部学びながら習得していきました。このように、公式な学習コンテンツから学ぶことをを大事にしながらインプットしてることが多いですね。

どのような技術や言語にも「公式で推奨されているやり方」があります。Qiitaなど個人が書いたブログ記事を参考にするのも良いとは思いますが、同じことをやるにしても書き手によってそれぞれ異なるやり方で書かれている場合があるため注意が必要です。
なるべく公式から提供されているコンテンツを参考にするほうが良いです。学習し始めたばかりのスターター向けの例題なども紹介されていることが多いので、それらを順番に学習していくほうが体系的に学ぶことができます。私も実際にそうした公式が提供している学習コンテンツからの学びを活かして、今の開発業務を進めることができています。

プライベートでは生成AIを活用した創作活動にも取り組む

プライベートでは、小説を音楽にするノベルミュージックストーリーを作成しています。
主にYouTubeで公開していて、小説家さんとタッグを組んで作成しています。小説の文章を元に歌詞にすれば良い音楽ができるのではという考えのもと、小説家の方が作成した文章を自動的に歌詞にします。歌詞に対して動画や音楽、絵をAIで自動生成し作成しております。
こちらはAnthropicと、OpenAIを使っています。 ただ、AIツールを使っているわけではなく、音楽ジャンルを生成するためのプロンプトを書いたりなど全部自作しております。

小説家さんとコラボし、音楽生成AIと画像生成AIと歌詞の自然言語処理をすべて組み合わせて提供することによって、小説家さんも喜びますし、私は生成系AIのプロンプトの技術を磨けるので自分だけの勉強でとどめないようにしております。

【ノベルミュージック】

あとはプログラミング講座の動画も作成しております。
このように動画をうまく使って、他人に対してどれだけ貢献するかみたいな形で、他人が求める目標に対して、生成系AIがどれだけ使えるかなど、自分がどれだけプログラミングできるかを整理しています。

【藤澤さんYouTubeチャンネル プログラミング講座】

また、アウトプットが増えてくると、GitHubにリポジトリなど公開しています。

LAPRASを使うことでカルチャーフィットに時間を割くことができる

―今回、LAPRASを使って転職をされたと伺ったのですが、どのような経緯だったのでしょうか?

自分で応募して転職しました。

いきなり応募するのではなく、LAPRASエージェントを利用しました。転職活動の大まかな方針についてアドバイスをいただき、その後は自分で応募したという流れです。

―今回の転職では、どのような点を重視して転職先を探しましたか?

主に「技術的なキャリアが積めそうか」がポイントでした。

かつ、これまでの自分の技術的な経験が生かせそうなところを探していました。ここでいう技術的とは、ビジネス的な観点の事業知識です。

最終的に選んだ転職先は、技術的な部分もマッチしていましたが、代表の田邊CEO、柿澤COO、主力のエンジニアと話が合ったので、そこが1番の決め手になりました。

ひとつの会社への所属が1番長く続くのは、技術的な相性が一致することも大事ですが、「現在所属している方々と自分が話が合うかどうか」のほうが重要だと思っています。

―LAPRASを使って転職するメリットは?

技術力など数値が見える化しているので、いままで行ってきたアウトプットや技術に関して、他の転職サービスよりも説明する時間を短縮できた点でかなり活用させてもらいました。

通常、自分がいままでやってきたことや、どんな技術を持っているかなどはカジュアル面談やその後の本選考時に企業側への説明が必要です。ただ、LAPRASだとポートフォリオにやってきたことがまとまっているので、社風やカルチャー、自分の考え方などを伝えるのに時間を使うことができます。 LAPRASを使っていると自分の技術力などの話が省略できるので便利です。

採用側も、数値面でスキルなどを客観的に判断でき、「この候補者は大枠では問題ない」と事前に判断できるかと思うので、
細かな技術面や求職者個々の考え方などの確認に注力できるのでメリットがあると思います。

―スカウトやカジュアル面談で気になるポイントはありますか?

アウトプットや開示している情報を見てくださいと求職者側から言わなくても、もうすでに応募時点で見てくれている企業には好印象を持ちます。一方、そもそも見てくれていない企業は「すでに材料を提供してるのに、見てくれていない・・・」とこちらも判断してしまうので、足切りしてしまうこともあります。

「事前にチェックしてきた情報を再度確認する」という意味もあるのでしょうが、カジュアル面談の際に開示している情報を改めて聞かれることもあります。ただ、その際も、事前にこちらが開示している情報をまったく見ていない企業と、そうでない企業はお話しているとどちらなのかすぐにわかります。「何人も同じような対応をしているんだろうな」と捉えられるような企業は、「あんまり本気で採用する気がないんだな」と思ってしまいます。

実際に、スカウトメールで自分のやってきたことをしっかり見て書いてくださっているメールには、返信することが多かったです。
GitHubなどをちゃんと見て、そこに言及して、「こういうことに取り組まれていてすごいですね」と触れてくださったうえで、面談のお声がけがあると候補者受けが良いかもしれません。
カジュアル面接時も、開示している情報を見た前提の質問をもらうと候補者は「ちゃんと見てくれている」と感じると思います。

エンジニアへのメッセージ

―今回のLAPRASを通じたマッチングはどのくらい「自分にとって最も良いもの」でしたか?

良かったと思います。

理由としては、採用担当の方も事前にLAPRASで確認できる開示情報を見てくださっていて、技術力も確認してくれておりました。その上で提示された給与面も満足しています。

「お互いに大枠の技術面の話を省略できて、 カルチャーフィットの話にちゃんと持っていけた」という点が、最善のマッチングができたと思う根拠です。

他の転職エージェントなどを利用した場合、企業と候補者の間を仲介する転職エージェントの人柄などもマッチングの結果に大きく影響すると思います。転職エージェントの場合、技術的な材料も、エンジニアリング知識のない担当者が簡単にまとめた条件を機会的にチェックしているだけ、というケースも多いと思います。しかし、それだと本当に「そのマッチングが最善なのか」の判断もつかないでしょう。そういう面では色々事前にお互いの情報を知って、 マッチングの良し悪しを判断できる材料が多かったのはとても良かったと思っています。

こちらとしても、ずっと積み上げてきた「勉強会への参加履歴」や、「GitHubのリポジトリ」など、過去の経験が全部転職に活かせるというのは、この最善のマッチングに繋がっているのかなと思います。

―エンジニアにとって「最善のマッチング」とは何だと思いますか?

エンジニアは自分の知識や学びをアウトプットして、オープンに勉強していく必要があると思っています。
それを素直に評価してくれる会社に行くことが、 エンジニアにとっては最善のマッチングではないかなと思います。
ただし、自社開発エンジニアでないと、そうしたアウトプットがし辛い場合もあるかもしれません。
自社開発会社の場合だと、自社サービスを売っていきたいという意向があるため、社員が自社サービスに関するアウトプットや学びの情報をオープンにして発信活動をしてくれると嬉しいはずです。自社の認知拡大や営業活動にもつながりますからね。
一方、受託開発の場合は、情報をオープンにしてもリスクになるだけです。守秘義務などもあり、開発物の著作権は基本的にお客様が持つことになるので。

―転職されるエンジニアへのメッセージ

3点ほどあります。

1つ目は
自分の価値観を明確にすること。

自分はバックエンドエンジニアのスキルがあるのか、フロントエンジニアなのか、 はたまた、文章を書くのが得意なのか。そうした、「自分が持っているスキルの棚卸し」はした方がいいと思います。

自分が歩んできた道で培ってきたスキルは、転職後も生かした方が良いです。そのうえで、さらにどこを伸ばしていくかという将来のキャリアビジョンはちゃんと持った方がいいのかなと。

「自分がこれまで培ってきたスキル」は過去軸の話ですが、それをベースにして今、なにかやりたいことがあるんだとしたら、 やはり自分はどういう人になりたいのかという将来の展望を、興味や価値観から遡って考える必要があるでしょう。

過去は「自分が培ってきたスキル」で考え、未来は「自分の興味関心・やりたいこと」で考える。 未来は現在やっていることの延長線上を目指すのでもいいし、「今までとは違う領域にチャレンジして、過去のスキルとの掛け算でより自分の価値観に合ったキャリアを目指していく」というのもいいでしょう。どういう将来像を目指すのか、しっかり明確にしてから転職をするのがいいと思います。

2つ目が、企業文化や企業の価値観を知ること。
自分を知ったら次に相手を知りましょうということですね。

自分の価値観と、企業の文化・価値観とのマッチングは重視した方がいいんじゃないかなと思います。エンジニアは技術力だけで会社を選ぶことが多いんです。ただ、技術力でなく文化や価値観の面でもマッチングしていると、「ちょっと詰まったときに相談しやすい」などメリットも多いので。

価値観については、たとえば、先程の自社開発の企業=積極的にアウトプットしていく文化なのか、受託開発=アウトプットせずクローズにしていく文化なのか、といった点です。自分のスタイルに合わせてしっかり一致する会社を選んだほうが良いですね。

たとえば、同じRailsを使って開発している企業でも、受託企業でのRailsと、自社開発企業でのRailsは全然違いますし。LAPRASならスキル面を説明する時間が省略できるので、利用しながらオープンな価値観の会社を探すなど出来ると思います。

3つ目が、 ネットワークも大事にすることです。

要するに、自分が転職するタイミングで「現職の仲間たちに迷惑がかからないようにする」ということです。この業界で長くやっていて思いますが、以前勤めていた会社の方にお会いすることも結構あるんです。

たとえば今回LAPRASを通じて転職した際に、転職した先の社長の方は以前勤めていた企業の上司の方でした。当時上司とはうまくやっていたので、関係は良好でした。

ときには、リファレンスチェックが必要な企業もあります。IT業界は意外と狭いので、転職するときはネットワークを大事にした方がトラブルなどを未然に防ぐことができます。

関係性を良好に保っていれば、改めて違う立場でお話したときもフランクに話を進めることができます。過去の人脈などを大事に繋いでいくと意外と未来で繋がることがあるので、そこも考えておいたほうが良いと思います。

ーー ありがとうございました!

取材・執筆/永井亮