アウトプットを継続するために大切にしていることとは?【LAPRAS OUTPUT AWARD 202402】 受賞インタビュー「富所 亮さん」

エンジニア向けポートフォリオ&転職サービスを提供するLAPRASでは、2023〜2024年にアウトプットを頑張っていたユーザーの方を、LAPRAS OUTPUT AWARDで表彰させていただきました。

今回2024年2月は、富所亮さん にお話を伺いました。そのインタビューの様子をお届けします。
「今は自分のちょっと高い目標のためにアウトプットを続けている」という富所さんにとって、アウトプットするということにはどんな意味があるのでしょうか?

LAPRAS OUTPUT AWARD
過去一年間で最も精力的にアウトプット活動をされていたユーザーの方の中から、LAPRAS運営の独断で表彰させていただく賞です。選出基準は年間のアウトプット数が上位にあることと、LAPRAS運営と社内エンジニアの推薦制となっています。
受賞された方には副賞賞品、インタビュー記事掲載および、ポートフォリオにスペシャルバッジを掲載させていただきます。

自己紹介・アウトプットを始めたきっかけ

ーー この度はアワードの受賞おめでとうございます。まずは富所さんご自身について教えてください。

長らく一貫してWeb系の開発をしています。受託開発に自社サービスの開発と、自分の方向性に合わせて働いてきました。その時々で、自分の方向性に受託開発の方が向いている時もあれば、自社サービスの方が向いている時もあります。特に受託開発か自社サービスかを選ぶという意識はなく、その時々の興味や目的に合わせて方向転換している、という感じです。


富所さん

 

ーー 現在はどんなお仕事をされていますか?

カオナビという会社でエキスパートという肩書きをいただいていて、長期視点で技術的負債を減らしていこうという活動をしています。2年後、3年後に大変になるであろうことに早めに取り組んでいく、といった提案をしたりしています。長期的なシステムの改善を担当しているという感じですね。

 

ーー エキスパートというのはそういったことを専門的にされるようなお仕事なんでしょうか。

いえ、僕がこの会社に転職したとき自社開発が複雑化し過ぎて困っているという状況だったようです。サービス開発というよりは、サービス開発をしやすくするために全体を改善してほしい、そういうニーズがあったと思います。そこで「この肩書きがあると動きやすいのでは」と提案いただき、VPoEにこの肩書きをいただくことになりました。僕のために役職が作られたという形ですね。光栄に思うとともに、その名に恥じないように毎日頑張っています。

 

ーー 会社の方ではアウトプットが推奨されているんでしょうか?

はい、CTOをはじめとして、本を執筆したり、雑誌への投稿、カンファレンスでの登壇など、アウトプットする人は多いです。僕自身も同様に雑誌への寄稿やカンファレンス登壇を日頃から心がけていますし、若手に対しても「みんなアウトプットしていくといいよ」と話をしています。自然とやっていけばいいよね、という感じで声をかけています。

 

ーー アウトプットを始められたきっかけを教えてください。

アウトプットを始めたのは15年くらい前、各地で技術系の勉強会が盛んになり始めた頃で、外の勉強会に参加して自分の能力のなさを痛感したことがきっかけです。足りないものを身につけるには勉強するしかないと思ったんですが、勉強だけではつまらないので、ブログを書いたり発表したりするアウトプットを心がけるようになりました。
カンファレンスでの登壇に加え、社内勉強会での発表や社内ドキュメントの作成もアウトプットになると考えています。得た知識を頭の外に出すことが大切だと思っているので、Slackよりもブログのように溜まっていく場所に書くことを心がけています。後で見返せるメリットもありますし、ブログをベースにドキュメント化することもできるので。できる限り書くことを大切にしています。

ブログを書き始めた直接のきっかけは、勉強会での登壇経験です。それまでもドキュメントは以前から書いていましたが、外に発信していく必要性を強く意識するようになったのは、勉強会での登壇経験があって初めてだったと思います。

 

ーー ブログ執筆の頻度はどれくらいですか?

ブログの頻度ですが、数値目標を決めてしまうと逆にしんどくなるので、あまり数値目標を立てずに書いています。去年のブログ記事数を振り返ってみると24記事で、一昨年が26記事ほどでした。このペースが自分にはちょうどいいのかなと思っています。
一方で、カンファレンス等の登壇は毎年複数回はしていて、数えたら昨年は5回、その前は7回でした。エンジニアの中では積極的な方だと自負しています。新しい内容を用意するのは大変ですが、今年は少し再利用などを取り入れることにしました。こういう時ブログに書いておくと便利なんですよね。

 

ーー 登壇は毎回新しいテーマを用意するんですか?

はい、今年は少し再放送ネタもありますが、その前は全て新テーマを出していました。PHP界隈ではPHPカンファレンスというのが定期的に開催されているので、そこからプロポーザル提出の案内が来たら応募しています。受理されると参加者の投票で採択されるという流れです。
すごく計画的に準備しているわけではないですが、自分のルールとしては応募することは欠かさないようにしています。PHPを専門とするエンジニアとして、PHPカンファレンスを中心に登壇機会を得ていこうと35歳の時点で決めていたので、その一環として参加しているという感じです。

 

ーー PHPカンファレンスでの登壇を中心に活動するようになった経緯を教えてください。

十年ほど前、自分のエンジニアとしての看板をPHPとすることを決めました。管理職などを経験すると専門性が薄れていくことに違和感があり、PHPの技術者としてのアイデンティティを明確にしたかったからです。
そのため、PHPカンファレンスでの登壇を中心に活動していこうと考えました。マネジメントやリーダーシップを経験すると全体を見渡す立場にはなれますが、自分自身の専門性が曖昧になると感じていました。PHPのプロフェッショナルとしての屋号を持つことで、自信を回復できると感じたわけです。心が安定しましたね。

 

ーー アウトプット活動は顔出しでされていますか?

はい、SNSやブログでは基本的に全て個人名で活動しています。
最初は実名で活動するのが嫌だなとも思いましたが、仕事で名前と顔を売っていく以上、ちゃんと出すべきだと考え直しました。実名と顔出しで活動しているとリアルとのギャップがない分、信頼感も得られるのかなと。
ただしこれは40歳くらいまでの感覚で、ある程度自分のポジションができた今はもう少し高い目標を目指してアウトプットしている、という感じです。

30代の時は、明日仕事なくなっちゃったらどうしようとか気にしてたんですけど、今は、多分大丈夫、とりあえず食べられてるよというくらいには自信はつきました。

自分が一番悔しいのは、仕事で分からないことがあった時にすぐに答えられないことです。問題が出た時に理路整然と解決できる技術者が僕の思うエンジニア像なので、それができない自分が辛いです。
なので、どんどん技術に詳しくなろうと思っていまして、PHPのコミッターを目指すなど、レベルアップを心がけています。メーリングリストを読み始めたりして、PHPコミュニティとつながっていければと考えています。

 

PHPとの出会い

ーー それでメーリングリストを読み始めたんですね。このメーリングリストの解説が素晴らしいと思って、今回アワードに推させていただいたんです。どういった経緯で始められたのでしょうか?

毎年集まるエンジニアの仲間内で、次の年の目標を決める会があって。そこで国内のPHP界隈ではある程度名前が知られているので、もっとグローバルに活躍したら?というアドバイスを受けました。
そこで「ワールドクラスのPHPエンジニアを目指そう」という、謎の目標を自分で定めたんです。ワールドクラスになるためにはPHPの内部構造を知ることが必要だと考えまして、PHPのコア開発者向けメーリングリストを読み始めました。ただ読むだけでは飽きてしまいそうなので、日本語にまとめ直す活動を通じてPHPの内部を理解していこうと思っています。

PHPの開発はすべてそのメーリングリスト上で公開されているんですが、英語という壁もあり、全てを追うのは大変です。でも内容を日本語にまとめ直していると、感謝の言葉をもらったりしますね。
PHPについて詳しく知りたいというモチベーションはみなさん持っていると思うんですが、英語ですしメーリングリストを直接追うのはハードルが高いですよね。だからこそ、日本語でまとめることで、PHPをより深く知りたい人の第一歩を支援できればと思っています。

 

ーー PHPを専門分野として選んだ経緯を教えてください。

実は、元々はJavaで受託開発をしていたので、きちんと型がありコンパイルされる言語に慣れていました。受託開発の現場ではテスト仕様書を書いて品質を担保し、きちんとドキュメントも残すという文化がありました。
そこからPHPの現場を初めて見た時は、変数の型定義が曖昧でコンパイルもされず、ドキュメントも乏しい状況で驚きました。「こんなゆるい言語で本番システムを構築できるのか?」とプログラマーとしての信頼性を疑いました。
ですが実際に使ってみるとPHPもある種の世界観があり、気がついたらそちらの方が自分に合っていると感じるようになりました。渡り歩いた会社がたまたまPHPを使っていたことや、コミュニティも活発だったことから、悪くない選択だろうとPHPを看板に選ぶことにしました。

 

ーー 最近人気の新しい言語やフレームワークについて、歴史の長い技術を専門とする方はどのように捉えているのでしょうか。

僕は結構ミーハーな性格なので、新しい技術が出てきたら必ずhello world程度は触ってみます。例えばうちの会社ではフロントエンドでTypeScriptとReactを使っているんですが、バックエンド専門の僕も書けるようにはしてあります。
文句を言うだけで実際には何もできないことは嫌だし、ポジションを守るためにも周辺の技術をある程度把握しておくことは大切だと思います。PHPが将来的には下火になる可能性もありますし、それは他の言語の動向を知らないと気づけません。技術を深く知るには周辺を広く知ることが不可欠だと感じています。

PHPのコア開発者向けメーリングリストを見ていると、新しい機能追加の提案の中には他の言語で既に実装済みの機能を取り入れようというものが多数あります。
他の言語の動向を把握していると、PHPの進化の方向性が見えてくると感じます。最終的には言語間の機能差はなくなっていくのではないでしょうか。だからこそ言語を深く知るには、周辺も広く知っておくことが大切だと思っています。

 

アウトプットは健康第一

ーー カンファレンスに出るなど、うまく自分を追い込むような目標設定をされているそうですが、その辺りのコツを教えてください。

人間はゴールがないとなかなか行動できないものですから、ある程度の追い込みは必要だと思います。PHPカンファレンスのプロポーザルを通す目標を定めることで、自分を鼓舞している部分は確かにあります。
ただし、これをやりすぎると疲弊してしまうので気をつけないといけません。一時期、メールを見るのも億劫になるほど自分を追い込んでしまったことがあって。適度な締め切りやゴール設定が大切ですね。
アウトプットの量も同様で、実際に書いてみることで自分の限界が見えてくるので、試行錯誤しながらちょうどいいペースを探していくしかないと思っています。アジャイル開発と一緒ですね。リリースしてみて分かる。

 

ーー そのほかに気をつけていることはありますか?

一番大切にしているのは嘘をつかないことです。理解できなくてもしょうがないので、正直に「ここは今の自分の能力では理解できませんでした」と書くようにしています。すると通りかかった達人が助けてくれることもあるので。

自分のレベルで分からないことがあっても問題ないし、なによりアウトプットを諦めてしまうのが一番マズイと思います。無理な背伸びをせず、自分のレベルに合った範囲で出し続けることが成功の秘訣だと信じています。

初心者がアウトプットした内容をベテランが見て「まだこんなこと書いているのか」というコメントを見かけることがありますね。2年目のエンジニアが10年目のベテラン並みの内容を書けるはずがないので、ある意味当然だと思います。
こういう場合は「なぜ分からないのか」と批判するのではなく、分からない部分を教えてあげることが大切だと考えています。アウトプットのハードルを下げる意味でも、自分のレベルに合わせた範囲で出し続けることを推奨したいですね。

 

最後に、LAPRASについて一言

ーー では最後にLAPRASについて一言お願いします。

これはLAPRASというよりアウトプット全般についてなんですが、アウトプットで一番大切なのは自分の健康だと思っています。よく眠って、食事をとり、運動もして、その上でアウトプットを心がけましょう、と人にはアドバイスしています。
月に1回深夜に徹夜してアウトプットするより、週に3回ほどちょっとしたペースで出していく方が長続きしますし、実際に効率もいいです。自分も過去の日記を見返すと、頑張りすぎた後は必ずしばらくアウトプットが止まってしまう期間があるので、無理のない範囲でコツコツと出すことを心がけたいですね。
コツコツアウトプットする方が、LAPRASも変化があって楽しいですよ。

 
ーーありがとうございました。今後もぜひアウトプットを続けてくださいね!

 

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