「ベンチャー経験豊富なプレイングマネージャー」に聞いた つい働いてみたくなる会社の特徴とは

「LAPRASユーザーインタビュー」では、LAPRASをきっかけとして転職や副業を経験されたエンジニアの方へのインタビュー記事をご紹介しています。今回はベンチャー経験豊富で現在EM(エンジニアリングマネージャー)として働いている近藤さんにお話を伺いました。
今後のキャリア形成に悩んでいるエンジニアの方や、エンジニア採用担当の方はぜひご一読ください!

<プロフィール>

株式会社NoSchool 近藤 さん
2016年ごろにシナリオライターからアプリエンジニアに転向。株式会社CureApp / 株式会社オトバンクなどのベンチャー企業でフルスタックとして働く。その後、2024年4月に株式会社NoSchoolにEM(エンジニアリングマネージャー)としてジョイン。

アプリエンジニアからエンジニアリングマネージャーへ

―現在の業務内容について教えてください

株式会社NoSchoolでエンジニアリングマネージャーをしています。
サーバーサイドの大きめな案件を回しながら関連するメンバーと1on1ミーティングをしたり、会社の今後の方針についてCTOと話し合いなどしています。マネジメント業務よりもコードを書いてる時間の方が長く、かつフルスタックなので、プレイングマネージャーです。エンジニアングマネージャーとしてのキャリアは2、3ヶ月になります。

―いままでのキャリアについてお聞きしても良いでしょうか?

エンジニアになった最初はSESで働いていました。その後、自社サービスの会社に入社しアプリエンジニアになりました。そのとき入ったのが株式会社CureAppというベンチャー企業です。

その会社では、フルスタックでアプリやサーバーなど、様々な業務領域で色々な経験値を積むことができました。そこで今でも師匠と呼んでるような、エンジニアリングマネージャーやPdMとの出会いがあり、「この人と同じ働き方してみたい」という考えになっていきEMになろうと思いました。

―師匠を含め人との出会いがEMになりたいと思ったきっかけだったのですね

はい、そうです。それがきっかけでEMになりたいと思い、株式会社オトバンク会社に転職しました。こちらもベンチャー企業ですね。

転職して1年半ぐらいまでEM候補として働いていたのですが、 採用がうまくいき自分以外にもEM候補になりうる人材が入社してきました。組織の規模的に、EM職種の人材が十分に足りる状況になりました。私としても、新しい人材が入ってくるまでにある程度経験も積めていましたし、そのときの環境でやるべきことはやり切れていたと考えていましたので、転職し現在の会社でEMをしております。

―複数のベンチャー企業を経験されたのですね。現在、フルスタックでマネジメントもされているとのことですが、大変ではないですか?

流行りの技術自体がすごく簡単になってきているので、フルスタックしながらでもしやすくはなっていると思います。フルスタックといっても各領域の知識がそこまで深くないので、マネジメントにも手出してる、みたいな感じです。

マネジメントは論理と感情のバランスが大事

―エンジニアとして日々どのようなアウトプットや貢献をされていますか?

会社での話になりますが、コードを書きつつ、PdMのようなこともしています。
今の会社にはPdMがいないため、CEOから私に直接仕事の指示が来る流れになっています。そこで「ドキュメントをどのようにつくるか」、「この企画はどのように進めていくか」といった段階から考えて仕事に取り組んでいます。

今は自分がマネージャーなので「自分がマネジメントしている他のメンバーも将来、今の自分と同じことができるようになってほしい」という想いがあります。

―周囲にも同じようにアウトプットや仕事ができるようになってほしいと?

ジュニアエンジニアにも「さらに成長していってほしい」という想いがあります。

新卒2年目のエンジニアがいる会社なので、ガイドラインを作るなど、「自分が通った後の道を、ほかの人も通りやすくする仕事」をしています。具体的には、Design Docというエンジニアがよく使う企画仕様書みたいなガイドラインを自社用に作ったりなどしています。

あとは、1on1を多めにして会話してみたりなどもしています。社内は今、ベンチャーということもあって学園祭みたいな雰囲気です。くわえて、CTOもテックが強い人なので、CTOが皆を引っ張って、それを私が後ろから押し上げていく動きをしています。

―マネジメントをしていて大変なことはありますか?

EMになってからまだ2、3ヶ月なのと、今の会社のメンバーが良いので、そんなに苦労はしていません。

ただ今後の可能性として、「エンジニアはかくあるべき」「コードはこのように書くべし」といったエンジニアのあるべき姿に対する持論を持っている人と、会社の方針がずれることがあるかもしれません。

このように、常に会社側の方針とエンジニアが期待する役割が一致するとは限りません。そうした際に双方のギャップをどのように埋めて調整していくかは非常に難しい問題です。社内の他部門から理解や協力が得づらい場合もあるため、どうしようか頭を悩ませることもあるかもしれません。

その場合は、エンジニア側の感情もしっかり汲み取るのが重要です。
ピープルマネジメントは得意だと思っているので「人の感情に向き合って、相手を承認すること」と、「承認してはいけないところは承認せずに伝える」というような、いわゆるアクノレッジメントを大切にしています。それは正式にマネージャーになる前から気をつけています。

―ときに論理だけでなく感情にも向き合うことが大事なのですね

マネジメントをする上では、ロジックと感情を分けて考えた方がいいかもしれません。ただ、分けた上でどちらも大事にしなければならないと思います。たとえば「個人の感情論はやめましょうよ」と言ってしまうと、「個人の感情を正当化するためのロジック」で言い合いが始まり、収拾がつかなくなってしまうことがあります。こうなると何も生産性がないので、ロジックと感情のバランスが大事だと思います。

あとは、自分の感情を出すことも大事だと思います。
自分から感情の話をしないと相手からは言い出しづらいのではないでしょうか。自分から感情の話をして、それを呼び水に相手の想いを引き出すとアウトプットが増えるのでマネージャーとしては正しいやり方なのではないかと思います。

会社に「足りないもの」が見えると好奇心が沸く。

―NoSchoolさんに転職された理由をお聞きしても良いでしょうか?

自分の「とにかくマネージャーをやりたい!」という想いと、会社側の「もうマネージャーやっちゃいましょう!」というフットワークの軽い提案がマッチしたのが大きかったです。

また、マネージャーの仕事では出社かリモートワークかでコミュニケーションの密度が全然違うと考えています。そのため、出社の会社を探していたのですが、NoSchoolは完全出社だったので働き方が希望にマッチしたという点も大きかったです。

別の視点では、独自の開発思想に惹かれた点が大きかったです。
弊社の設計はドメイン駆動設計(DDD)など、「マニアックかつ厳密な設計」を好む傾向があります。しかし、だからといって「厳密な設計原理主義」になるわけではありません。「あくまで結果を出すための手段として使っている」という思想があります。「道具としての思想」、「工学的な思想」と僕は表現しています。そうした会社独自の開発思想は、選考時にCTOから伝えられました。本当は大きい会社に行くつもりでしたが、だんだんとそうした独自性や熱い想いに惹かれていき最後は「わかったわかった、もう」と根負けするみたいな(笑)、そんな風に転職しました。

CTOにはいい意味ですごいエネルギーを感じました。同時に「メンバーの中間の歯車になる人がいなくて、力を伝えきれてないな」という部分が見えてしまって、自分が入ったらより楽しくなる会社だろうなと思いました。

―力を伝えきれていない部分が見えてしまったとは?

これまでにもう少し先のフェーズにあるベンチャー企業を経験しているので「前職までの会社組織に足りていた要素が、今の会社にはない」といった直感が働くんです。先に違和感に気がついて、そのあと「今の会社に足りないこと」を発見する、ということが何度かありました。

自分が少し先のフェーズにある企業から転職してきているからこそ「面白い役割で会社に参加できたな」と感じています。

エンジニアでEMを目指す人は、「課題解決にやりがいを感じる人」が多いと思っています。「今はうまくできていないけど、ここを改善したら成果につながるぞ」といったポイントに惹かれてくる人が多いので、そこの魅力はすごくある会社だなと感じています。「今自分が知っている知見をたくさん放り込むだけでこの会社すごく伸びそうだな」という、うぬぼれを感じてしまったので、「俺が行くか」という気持ちになりました。

―ベンチャーを複数経験されていたからこそ、違うフェーズで先が見えているという状態ですね。

異世界転生みたいな感じですね。「俺答え知ってるわこれ」という状態です。
ただ、答えをそのまま出そうとすると、間違って違うギアを無理やりはめてしまうこともあるので、調整はしつつ「持っている知見のこの部分を、ここの課題にはめれば良くなるだろうな」というイメージを膨らませていました。「実際に自分が思うギアをはめてみるとどうなるんだろうな?」という好奇心、 誘惑に負けてしまった感じです。

―LAPRASを使って転職されたと伺ったのですが、どのような転職でしたか?

2社から内定を取ろうと決めて転職活動していまして、実際に2社から内定をもらいました。今回の転職では、エンジニアリングマネージャーとして求められるハードな意思決定の練習だと思って、意図的に難しい選択を自分に突きつけました。
本当にいい会社ばかりだったので内定承諾先を決めるときは非常に頭が痛かったです。

―いい会社さんに出会えたがゆえの悩みですね

LAPRASに登録している企業は、たとえ立ち上がったばかりのスタートアップなどでも熱意がある会社さんが多いですよね。 実際僕がEMとして転職先を探した際にも良い出会いがあったり、転職のベクトルがいい意味で変わったりしました。

―LAPRASで見た求人票で気になった部分はありますか?

「せっかくいい会社が多くあるんだからもっとうまくアピールするべきところをアピールすればいいのにな」と思うところはありました。

安心にさせられる要因があるのに伝えていない会社が多いかもしれません。
特にベンチャーだと、将来の先行きを不安に思われることが多いので、売り上げや会社がどれくらい成長しているかなどが書いてあると安心するのではないかと思います。他には事業のアピールポイントなどですね。  

こうしたポイントはマネージャーやフルスタックで転職される方は、気にすることも多いと思います。「こういう属性の人に対してはこういう内容が刺さる」といった知識があるといいでしょう。どんな情報を出しておくと閲覧者からのウケがいいのかについては、参考になるサンプルやフレームワークなどを作るといい情報が集まるのかなと思います。

採用した方から「企業がもっと成長してるという話が前もってあれば、俺はこんなに悩まなかったよ」などと言われることもあると思いますのでフィードバックを受け、アピールポイントに組み込んでいくようにすると良いかもしれません。

―スカウトで気になった部分はありますか?

文体が面白い人とかは気になりますね。あとはこちらの情報をどれだけ見てもらえてるのかというのもあります。
スカウトに熱意があれば、実際に会ってお話ししても熱意があることが多いと思います。 人を大切にしてますよというアピールポイントにもなります。実際に今の会社はすごく人を大事にしている会社です。
そういったところもいい見定めの基準になりました。

―カジュアル面談で気になったポイントはありますか? 

日程調整ツールは使った方がいいと思います。
スケジュール調整で行ったり来たりするのは結構しんどいです。
私は複数の会社を受けていたので、予定の管理が大変でした。ツールなどで日程を自分で選べるのは本当に助かります。

また、少しずれますが、技術課題を出される場合、戦略的に進めても2、3日かかるような課題を出されることがあり負担になるときがあります。責任持って対応したいと考えており課題を仕事として捉えてるので、できないことをできるとは言いたくないため選考に進まないこともあります。
私は打算的なので、「2、3日かけるならフリーランスだといくらぐらいだな」と計算してしまい受けるのをやめてしまうこともあります。

内定をもらった後の、最終確認でやるとか、お試し副業などで確認する方が良いと思います。
ジュニアエンジニアには技術課題を出すべきだと思いますが、キャリアを積んでいる方だと、今までの実績などがまとまったポートフォリオを見てもらうなどしたほうがよいかもしれません。

「最善のマッチング」とは、「いかに自分で最善にするか」ということ

―今回の転職はどのくらい「自分にとって最も良いもの」でしたか?

メンバーがすごく良い方たちばかりで、マネージャーとしてのスタートとしてはこれ以上ないぐらい良い形で始められました。
小さい会社に転職する「ならでは」の楽しさっていうのは存分に味わえてますし、仕事が今までで1番楽しいんじゃないかと思っていて、仕事で溜まったストレスみたいなのが今のところ本当にないですね。

―エンジニアにとって「最善のマッチング」とは何だと思いますか?

「いかに自分で最善にするか」だと思います。
これは辞退した会社の方に言われた言葉で、感銘を受けました。感銘受けた結果、正解にするのが難しそうな方へ行きたくなり結果的に違う会社に転職することになったのですが。

入社後にギャップは少なからずあると思うんです。ただ、別にそれを持ってこの転職は良くなかったとするのではなく、この転職がそれでも良かったどうかにするかは自分の選択だと思うので、「俺が最善にするんだ」と思っています。私はマネージャーなので特にそう思います。

転職できる回数は決まってると思うので、その中で最善は見つからないと思うんです。最善を求めてもしょうがないから、選択した会社を最善にするしかないと考えています。

―転職されるエンジニアへのメッセージ

すごくいい会社はたくさんあります。

弊社がいい会社というのはもちろん、今まで受けてきた会社さんもすごくいい会社です。
その中で、今の会社でやりきれることをやりきってから、次の会社に行く方が良いと思います。

「やりきる」とはなにかそれはすごく難しい問題ですが自分の中で「やりきる」と判断する基準を決めておくと良いと思います。以前、転職を検討していた際に、当時の師匠に「まだまだ成長できる機会があるんだから、いた方がいいんじゃない」とよく言われ、「まだやりきっていないな」と思い転職を踏みとどまっていました。
その後、転職を決めた際にはもう言われなくなっていたため、免許皆伝みたいな感じで次の会社に転職しました。
また、やりきったかやりきってないかは転職活動の際に選考する企業側にも伝わると思っています。

結局、やりきっているかどうかは自分で決めることであって言ってしまえば自己満足です。でも、どうせなら「自己満足してから転職したほうが良い」と思います。そうするほうが「転職先はどんなところだろう?」というのを悩まなくなるのではないかと思います。

ーー ありがとうございました!

取材・執筆/永井亮